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アジ歴ニューズレター
【アジ歴ニューズレター 第23号 2017年08月24日発行】
目次
※署名記事の内容は、執筆者個人の見解に基づくものであり、当センターの公式見解ではありません。
新規公開資料のお知らせ
【2017年08月10日公開資料】
今年度より外務省外交史料館が所蔵する「戦後外交記録」の公開が始まりました。 外務省では、昭和51年以降、自主的な取組として、作成から30年を経過した外交記録を外務省外交史料館にて公開してきました。 それら「戦後外交記録」のうち、平成28年度より外交史料館からセンターへ、主としてアジアに関する部分についてデジタル化資料の提供が開始されました。当面は1972年の日中国交正常化までに作成された文書が提供されることとなっています。

A’門 政治、外交、国際紛争>1類 本邦外交>0項>0目

重光外務大臣とマッカーサーらGHQ要人との会談記録、連合国軍最高司令官による布告、GHQのプレスリリースなどから構成される「連合軍の本土進駐並びに軍政関係一件」、各地方における終戦連絡業務を担った連絡調整地方委員会および同事務局に関わる文書から成る「終戦連絡調整地方委員会関係一件」、連合国軍占領下における日本の外交権停止問題に関する「太平洋戦争終結による本邦外交権の停止及び回復に至る経緯」などを含みます。


A’門 政治、外交、国際紛争>3類 本邦内政>0項>0目

憲法改正草案・同英文、議会における憲法改正審議経過の記録を編纂した「帝国憲法改正関係」、憲法改正をめぐるGHQとの交渉記録、臨時法制調査会関係文書、憲法改正に起因する各種法案策定に関する文書などをまとめた「日本国憲法関係」より構成されています。
今日の資料

外務省文書の疎開・焼却・接収・返還

 疎開といえば、学童疎開といった言葉を思い出されるかもしれません。しかし、戦火を逃れて避難したのは人ばかりではありません。文書も疎開したのです。戦前の文書が現在に残されるまでには、いくつもの困難と人々の努力がありました。それでは、外務省を例に、戦時下で文書がどのようにして疎開されたのかを見ていきましょう。
・重要文書の疎開

 戦局が悪化しつつあった昭和19(1944)年3月、外務省では文書課記録書庫に保管していた条約原本を一括で、堅牢で安全な場所に移すことになります。選ばれた先は、日本銀行本店の地下室金庫でした。【画像1】は、重光葵外務大臣が日本銀行の結城豊太郎総裁へ綴った依頼文の公信案(※注1)です。ここには「帝国ノ外交関係上最モ重要ナル公文書ニ属シ、現戦争中之ヲ安全ニ保存スルコト極メテ緊要ナル次第」と記されており、外務省にとって他国との条約に関する文書がいかに重要で、それを戦火から守ることの緊要性が記されています。この公信は3月1日に送られ、この後、外務省から日本銀行に条約原本を収蔵したキャビネットが委託されました。


【画像1】 件名:2.條約原本等疎開関係(日本銀行へ委嘱)、6画像目、レファレンスコード:B12080780200
【画像1】 件名:2.條約原本等疎開関係(日本銀行へ委嘱)、6画像目、レファレンスコード:B12080780200

 それから1ヶ月後の4月1日、今度は他の文書の疎開が決定します。疎開先には、埼玉県の埼玉銀行幸手支店所有倉庫及び同県南埼玉郡にある個人所有倉庫が選ばれました。その際、現在綴り込み中の記録と廃棄して差し支えのないものについては省内の書庫に残置することにし、残る文書から重要度の高いものを選別した上で、昭和2(1927)年以降の新記録、次いで大正15(1926)年以前の旧記録というように時代ごとに区分をして、順次疎開することになりました。搬入作業は4月26日から5月20日まで実施され、当初は外務省文書の大部分を疎開する予定でしたが、最終的に疎開できた文書数は約3万3,000冊でした。これらの文書は疎開したために、戦災を免れることができたのです...

>> 全文を読む (PDF)PDF

<石本理彩(調査員)>

アジ歴活用の現場から

日本とマーシャル諸島との百年交流 <前在マーシャル諸島共和国大使 安細和彦>


・日本とマーシャル諸島の百年交流史(物語)の執筆

 2014年の半ば、外務省職員としてマーシャル諸島共和国にある日本大使館に在勤していた筆者は、日本と同国との百年間に及ぶ交流の歴史を紹介したひとつの物語を執筆すべく、その具体的構想を練っていた。何故このようなテーマの物語(フィクション)を執筆することにしたのかについては、紙面の都合もあり省略させて頂くが、意図したことは「より多くの日本人にマーシャル諸島という国が有する豊かな自然と、第一次世界大戦の勃発を機に、日本との特別な関係を持つに至ったミクロネシア地域の一角として、また、太平洋戦争期に2万人近い日本人戦没者を出した鎮魂の地として、更には、戦後の米ソ冷戦時代に米国による合計67回の原爆・水爆実験の実験地として、マーシャル諸島に対し一層の関心を寄せ、できればマーシャル諸島を訪ねてみようと思う人々が出てきて欲しい」との期待を込めたものであった。素人モノ書きによるフィクション仕立ての物語にしては、大胆、且つ野心的過ぎる着想であったが…


マジュロ環礁 夕凪(© Hiroaki Ueda, Raycrew)
マジュロ環礁 夕凪(© Hiroaki Ueda, Raycrew)

・ローラ村に建つ「モノリス」

 そんなある日、筆者は戦前期にマジュロ環礁内に建てられたという石碑が今も環礁内に残っていることを知り、その石碑を訪ねることにした。マジュロ環礁の狭い陸地部を貫く一本道を車でマジュロ市内から西方向に40分ほど走ると、ローラ村入り口のY字路に至る。このY字路の右側、つまりラグーン沿いの道を200mほど進むと左手の小高い空き地にその石碑は建っていた。初めてこの碑を見た時は、何故かキューブリック監督の映画『2001年宇宙の旅』の冒頭に登場した不思議な「モノリス」のように思えた。在留日本人の間で『台風記念碑』と呼ばれているその石碑は、高さ1mほどの台座の上に建っており、緑色片岩からなる石碑自体は高さ2m余り、幅1m余りであった。一見すると何の変哲もない碑文であるが、刻まれた全文が日本語であることに驚き、いつ頃、誰によって建てられたのかという疑問が湧いた。幸いにも刻印された文字は一字も欠けておらず、「聖恩記念」と題されたタイトルと共に全文を読み取ることができた。その大意は以下の通りであった。


マジュロ環礁 「台風記念碑」(© Kazuhiko Anzai)
マジュロ環礁 「台風記念碑」(© Kazuhiko Anzai)

『大正七年(1918年)十一月八日、マーシャル群島を襲った台風により、メジュロ(マジュロ環礁)では海嘯(高波)が民家を押し流し、二百名余りの死傷者が発生した。この台風被害の報告に接した(大正天皇)陛下は、大正八年(1919年)一月十四日に内帑金(「ないどきん」。天皇の私的見舞金)を下賜されることとされた。陛下による遙か遠く南洋の島民への一視同仁(全ての人を平等に愛する)の心に被災者一同は大いに感激した。そこで島民に対し、忠義と孝行の精神を教え、陛下への感謝の思いを末永く記録に留めるべく、謹んで起案し、後世に伝えることとした。
大正八年十一月十四日 臨時南洋群島防備隊司令官 海軍少将正五位勲二等功三級 永田泰次郎』

(カッコ内は筆者による補足)

・臨時南洋群島防備隊による暫定統治から南洋庁による委任統治へ

 この出来事は、日本とマーシャルとの交流初期に発生した自然災害に際し、暫定統治を担った日本海軍の臨時南洋群島防備隊(以下、防備隊)による被災地復興活動の歩を記録するものでもあり、筆者はこれから書く物語の中でこの記念碑の存在を紹介することにした。しかし、如何にフィクションとは言え、歴史上の事実を取り上げる以上は、その“事実”を確認する必要があるため、アジ歴のウェブサイトにアクセスして関連資料を検索して閲覧してみることにした。その結果判明したことは、マジュロ環礁での台風被害の発生報告は現地司令官から海軍省へ、そして海軍省から宮内省にも報告されたこと、そして大正天皇による内帑金として、当時の金額で五千円が下賜されたこと、更にこの内帑金を原資に罹災島民に対し防備隊より白米他の食糧等が支給されたこと、などを確認することができた。(因みに、マーシャル人の主食は今でも白米を炊いた御飯である)


マジュロ環礁 「東太平洋戦没者慰霊碑」(© Kazuhiko Anzai)
マジュロ環礁 「東太平洋戦没者慰霊碑」(© Kazuhiko Anzai)

 また、アジ歴が公開する当時の関連資料を検索したところ、碑文を起案した永田泰次郎は臨時南洋群島防備隊の第4代司令官として、大正7年1月に着任してから同8年末に離任するまでの間に、①現地島民の子弟のための「島民学校」(後の「公学校」)の設置(大正7年6月)、②域内各主要島の名称の統一(大正8年1月)、③在留邦人子弟のための「尋常小学校」の設置(大正8年8月)など、民政面の諸制度を策定しており、また、④域内各地に開校された公学校での現地子弟に対する日本語教育が次第に普及し、域内での共通言語として普及して行く過程、更には、⑤日本海軍による民政面での暫定的制度が大正11年(1922年)に設置された「南洋庁」に引き継がれて委任統治期を迎えたこと、等を知ることができ、筆者にとり、物語の中で戦前期の現地情勢を記述する上で大いに参考になった。

▼ 【参考】(クリックで展開)
対外活動報告

【広報活動】


・国 外

2017年3月15日~24日
AAS(アジア研究学会)年次大会(カナダ・トロント)でのブース出展 /トロント大学トマス・フィッシャー貴重図書館での意見交換・所蔵資料調査 /カナダ国防省歴史局文書館・図書館での意見交換・所蔵資料調査 /カナダ図書館・公文書館での意見交換・所蔵資料調査
2017年6月23日~30日
AAS-in-ASIA(アジア研究学会アジア大会)(韓国・ソウル)でのブース出展 /韓国国立中央図書館での意見交換・所蔵資料調査 /韓国国史編纂委員会での意見交換・所蔵資料調査 /韓国国家記録院での意見交換・所蔵資料調査
2017年7月19日~25日
ICAS(国際アジア学術会議)(タイ・チェンマイ)でのアジ歴広報/タイ国立公文書館、タマサート大学史アーカイブでの意見交換・所蔵資料調査


・国 内

2017年6月14日
GACoS情報探索ガイダンス(東京大学)でのデータベース講習
2017年7月1日
中央史学会(中央大学)でのデモンストレーション
関連資料の所在情報

カナダにおける日本関係資料所蔵状況


・カナダ図書館公文書館(→ウェブサイト

 カナダ図書館公文書館は、2004年に、カナダ国立公文書館と、カナダ国立図書館とが合併してできた組織です。書籍約200万冊、書架約241km相当の政府及び民間の文書、4.5テラバイト(450万メガバイト)の電子データのほか、写真、映像、音声、音楽記録、カナダの歴史記録絵画などが所蔵されています。所蔵している文書は、主に、各省庁から移管された公文書、私企業、全国的に影響力を有している私人及び私団体、政治家からの私文書があります。
 各省庁からは、法律、政策決定プロセスの先例となり得る文書について移管を受けています。同館は、重要な情報の入手の必要性から、どの文書を入手すべきかについて、決められた基準を用いています。移管に当たっては、これらの基準に基づき、各省庁と文書ごとに交渉をします。文書の入手については、無償が原則ですが、真に必要なものについては、その都度予算を確保し、購入していきます。私文書を同館に売却した者に対しては、税制上の優遇措置が講じられます。

 同館は、明治時代(1968年)から戦後の日本に関する資料をいくつか持っています。我々の訪問時には、日本政府によるカナダ人女性表彰に関するカナダ政府宛お伺い書、第一次世界大戦時にカナダのブリティッシュ・コロンビア州沿岸を航行していた英軍艦を護衛していた戦艦浅間の修理に対する浅間の館長発感謝文書、1920年に建てられた在日カナダ大使館建物の写真等を見せていただきました。
 これらの文書は、ガラス張りの施設に保存されており、ガティノー保存センター(GPC)と名付けられたこの保存施設は、温度、湿度、空気の清浄さが管理されています。


カナダ図書館公文書館の保存センター
カナダ図書館公文書館の保存センター

 公開・非公開については、1983年に制定された情報アクセス法及びPrivacy Actに定められた基準に照らし合わせて、請求ごとに審査していますが、デジタル化の流れに伴い、これらの法律の見直しを行っているところです。さらに、文書の種別ごとに公開の可否を決めるガイドライン作りを行っています。
 デジタル化は、2000年代においては少しずつ行っていましたが、2009年から、大量の政府記録をマイクロフィルム化する事業を始めており、2016年、同館は第一次世界大戦の兵士に関するファイルのデジタル化を始めました。これらの記録は、デジタル化が行われれば同館のサイトに搭載されます。このプロジェクトは2018年に完了します。デジタル化の需要が高い資料の種類は、家系図、軍の歴史に関する文書、先住民の歴史に関する文書、地図です。デジタル資料の主なユーザーは、政府関係者、政府の政策についての研究者、学生、一般のカナダ人などです。


カナダ図書館公文書館の職員との記念写真
カナダ図書館公文書館の職員との記念写真

 同館は、国内の公文書館との間で、文書の取得・保存・アクセスの問題に関する意見交換・情報共有を行っているほか、国際的には、国際公文書館会議(International Council on Archives)、国際図書館協会・機関連盟(International Federation of Library Associations and Institutions)のような国際的なネットワークやパートナーシップを通じた協力を行っています。同館の国際的な活動は、戦略的に決められた優先順位、カナダ政府によるより広範な政策目標に基づいて行い、これにより、カナダ国内の公文書館、図書館のコミュニティーにおけるリーダーシップを示しています。

 広報活動としては、まず、同館が参加している各種会議の期間中に展示会を行ったり、カナダ国内の各機関の要請に応じて展示物を貸し出したりしています。また、同館を訪問する人に開放するオープンハウスを運営しているほか、フェイスブックやその他のソーシャルメディアによる広報も行っています。

<丸尾克昌(資料情報専門官)>


・カナダ国防省歴史・遺産局文書館図書館(→ウェブサイト

 カナダ国防省歴史・遺産局は1996年、旧歴史局(Directorate of History)と軍事伝統局(Directorate of Military Traditions)を統合した形で設立されました。しかし、歴史・遺産局の起源は、第一次世界大戦にさかのぼります。
 同局は、研究及び歴史編纂を支援するため、文書館図書館を運営しています。文書館図書館は、カナダ軍の歴史、特に冷戦及び平和維持活動に関する歴史についての資料を収集しています。このような資料には、旧歴史局の記録管理システムに入っていない資料、カナダ図書館公文書館に移管された資料も含まれています。これらの資料は、様々な段階の軍事作戦・任務、政府の政策立案について詳細に記録しており、重要です。


カナダ国防省歴史・遺産局文書館図書館建物
カナダ国防省歴史・遺産局文書館図書館建物

 文書館図書館が受け入れている唯一の公式の記録は、年次歴史報告書(Annual Historical Reports)です。同報告書は活動中のカナダ軍の部隊から毎年受け入れており、12月に終了する毎暦年における軍部隊の活動の歴史的な概要を示しています。
 文書館図書館には、一部アジア及び日本関連記録があります。これらは大半が第二次世界大戦までのものであり、日本軍による香港侵攻及び日本軍の強制収容キャンプのような話題をカバーしています。
 文書館図書館は週2日一般に公開しています。スタッフはカナダ軍の歴史について幅広く問い合わせに答えています。秘密資料の秘密解除もスタッフにより行われています。


カナダ国防省歴史・遺産局文書館図書館2階書庫
カナダ国防省歴史・遺産局文書館図書館2階書庫

 文書館図書館は、デジタル化プログラムを始めたところです。デジタル化された資料には、年次歴史報告書、Robert Lewis Raymontにより作成された冷戦関連文書、一般命令が含まれています。破損してきた貴重本もデジタル化されています。最終的には全ての文書が歴史局のウェブサイトで公開されることになっています。
 歴史・遺産局は、また、作戦データベースのサイトを公開しています。このデータベースは1945年以降のカナダ内外におけるカナダ軍の全ての作戦記録のデータベースです。各作戦は、地域ごとに7つの色に分けられて目録になっています。400以上の作戦が特定されていますが、それぞれに対する歴史的研究は完成されておらず、このサイトも作成途上にあります。

<丸尾克昌(資料情報専門官)>


・トロント大学トマス・フィッシャー貴重書図書館(→ウェブサイト

 トロント大学トマス・フィッシャー貴重書図書館は、トロント大学に所在する44の図書館の中心的な役割を担うロバーツ図書館(John P. Robarts Research Library)に附属している特別図書館です。約74万点に及ぶ写本のコレクションを中心に、各種の貴重書、スペシャル・コレクションを所蔵・公開しており、主な分野は、カナダ文学、英文学、科学史及び医学史、ユダヤ人関連などです。

トマス・フィッシャー貴重書図書館(右側にロバーツ図書館の本体がある)
トマス・フィッシャー貴重書図書館
(右側にロバーツ図書館の本体がある)
館内の様子
館内の様子

 同図書館自体は、日本語資料164点、中国語資料114点、韓国語資料29点を所蔵しており、多くはカナダ人による著書を翻訳したものです。
 日本関連書籍の主な資料としては、連合国軍占領期の日本に滞在したジャーナリストのマーク・ゲインのコレクション(Mark Gayn Papers)があります。詳細については、1988年に同館のGraham S. Bradshaw氏による“Guide to the Mark Gayn Papers”が公開されており、これは現在インターネット上で読むことができます(http://www.library.utoronto.ca/fisher/collections/findaids/gayn.pdf)。また、日本関係としては日系カナダ人関係のコレクションもあります。例えば、第二次世界大戦後のカナダにおける日系人の抑留やその賠償に関するコレクションとして、戦時中に「敵国人資産保管所」(Custodian of Enemy Property Office)バンクーバー支店長だったF. G. シェアーズが収集した資料“F. G. Shears Collection”などが所蔵されています。こうした資料の収集事業は、トロント大学図書館として新しく進めているものであり、資料の多くは、学内の教員の人脈、日系カナダ人コミュニティの関係者の協力によって取得されています。

F. G. Shears Collection(戦前の在カナダ日系人の財産没収関係切抜き)
F. G. Shears Collection
(戦前の在カナダ日系人の財産没収関係切抜き)
F. G. Shears Collection(戦前の在カナダ日系人の財産没収関係切抜き)
F. G. Shears Collection
(戦前の在カナダ日系人の財産没収関係切抜き)

 資料の寄贈は、大学のコレクションとしてふさわしく、且つ図書館として受け入れる能力があると判断された資料について受け入れています。寄贈の際には、寄贈希望者と図書館スタッフとの間で資料についての協議が行われます。なお、カナダでは、資料の寄贈を行った場合には税額控除が適用される制度があります。
利用については、寄贈された資料の場合、寄贈者の意向によって一定期間の制限が掛けられることがあり、また、医療関係などの機微な資料の利用も制限されています。主な利用者は、特に書物史や印刷についての研究する学生、出版について研究する在野の研究者、ファミリー・ヒストリーまたは伝記の調査を行う者などです。
 デジタル化の対象となる主な資料は、利用者からリクエストのあった資料、劣化が激しい資料、長期保存の必要な資料、スペシャル・コレクションの代表的な資料について行われています。今後は、約10年間計画で行うこととなっており、現在は、手始めとして、1923年以前のカナダの著作につき体系的に進められています。デジタル化の対象は、原則として著作権のない資料ですが、著作権の保護下にある資料の場合、その資料を利用する上で著作権を害さないことを保証した場合に限り利用が可能です。
 トロント大学図書館は、CLDI(Canadian Linked Data Initiative)の一員となっています。CLDIは、カナダ国内の上位5館の研究図書館、カナダ図書館公文書館、ケベック州の国立図書館の技術サービス部門との連携を基礎として構築されたプログラムで、現在、カナダ、米国、欧州の各機関との協力下で、それぞれの技術サービス部門、スペシャル・コレクション、デジタル・ライブラリーにおける、英語及びフランス語でのメタデータの作成方針の共通化及び共有などを進めています。

<平野宗明(国立公文書館職員、前アジア歴史資料センター研究員)>

関連機関イベント情報
期 間
イベント名
備 考
リンク
2017年
10月7日~11月5日
平成29年秋の特別展 日本・デンマーク外交関係樹立150周年記念「日本とデンマーク-文書でたどる交流の歴史」
2017(平成29)年は、1867(慶應3)年に日本とデンマークの間に修好通商航海条約が締結されてから、150周年の記念の年にあたります。本展では、両国の150年にわたる友好の歴史を、交流の起点となった条約の原本をはじめ、日本とデンマーク両国の国立公文書館、デンマーク国立博物館、日本の外務省外交史料館等が所蔵する約80点の資料をもとにたどります。
期 間
イベント名
備 考
リンク
2017年
7月24日~11月30日
特別展示「日本とタイ―国交樹立130年―」
日本とタイは1887年(明治20年)9月26日、「修好通商に関する日本国暹羅国間の宣言」調印により、正式な外交関係を樹立しました。 2017年は、国交樹立130周年の節目の年にあたります。 本特別展示では、日タイ修好130周年を記念して、国交樹立に関する条約書等を中心としながら、近代における日本とタイとの交流の歴史を所蔵史料によってご紹介します。

【編集後記】
アジ歴ニューズレター第23号をお読みいただきありがとうございました。 次号以降も引き続き利用者の皆様に役立つ情報をお届けしていきたいと考えております。 どうか今後ともご愛読頂けますようよろしくお願いいたします。
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