■資料解説
得利寺の近郊の街である復州を占領した日本軍は、その地に軍政を敷き、そこで不正を働いていた清国(今の中国)の官吏である高万梅を処分しました。その報告書がこの文章です。本報告書においては、
「煤炭採掘に従事せる露国人の戦乱を避けて逃走するに当り高万梅は(中略)俄人(ロシア人・編者注)の従事せる石炭を封禁し石炭を密売せんが為め(後略)」 「俄人の従事する石炭は我日本軍の占領すべきものなり」 「猥りに盗取し私慾を肥せしは我日本軍石炭占領の利益を侵害せるものなり」
として、日本軍が入手するはずだった石炭を密売した高万梅の財産を没収し、復州から追放処分にしたことが述べられています(1~3画像目)。
さて、当時日露戦争において戦場となった満州における主権を有していたのは清国でした。清国は日露戦争に対して局外中立を宣言していました。したがって、日露両国は中立国である清国の領土内で戦いを行っていたわけです。清国は満州における自国の主権を尊重するよう日露両国に要求していましたが、それは必ずしも充分には受け入れられませんでした。
本件のケースでは、清国側も高万梅の不正を把握し、その処分に反対しなかったため特に問題は発生しませんでしたが(2画像目)、日露戦争時の清国における日本軍の軍政のあり方の一例を示す資料となっています。
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