■資料解説
昭和16年(1940年)に総力戦研究所が編集した、第一次世界大戦(1914~19年)に関する資料です。実際には「本資料は一九三四年「コムアカデミー」世界経済政策研究所「モスクワ」国立出版所発行 数字より観たる欧州大戦」の摘録」(2画像目、原文カナ)ですが、その中の「第十表 欧州大戦主要交戦国兵力並ニ損傷表」には、第一次大戦の参戦国が投入した人的資源とその死傷者の数が記載されています(28画像目)。
イギリス: 死者90万人、廃疾者48万人、捕虜36万人
フランス: 死者138万人、廃疾者112万人、捕虜52万人
イタリア: 死者46万人、廃疾者57万人、捕虜52万人
アメリカ: 死者5万人、廃疾者23万人、捕虜0.7万人
ロシア: 死者170万人、廃疾者266万人、捕虜250万人
ドイツ: 死者160万人、廃疾者105万人、捕虜96万人
オーストリア: 死者80万人、廃疾者130万人、捕虜181万人
なお日露戦争における日本軍・ロシア軍の損害は以下の通りです(「にちろせんそう 日露戦争」『国史大辞典』1990年、横手慎二『日露戦争史-20世紀最初の大国間戦争』中公新書、2005年、『[新版]ロシアを知る事典』、2004年を参照)。
日本: 死者8.4万人、負傷者14.3万人、捕虜0.2万人
ロシア: 死者5万人、負傷者15万人、捕虜7万人
戦争の性質を分析した思想家クラウゼヴィッツ曰く、「戦争とは、敵をしてわれらの意志に屈服せしめるための暴力行為のことである」そして戦争の暴力性は「その国の文明度によって決まるのではなく、両国の敵対的利害関係の重要さおよびその利害関係の継続期間によって決まるのである」(清水多吉訳『戦争論』「第一部第一章」、2001年、35、38頁)。20世紀の国際政治における利害関係の重要さがどれほどの人的被害を引き起こしたのかを、ここで取り上げた資料の数値は物語っています。
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