【資料10】~【資料19】は、仮装巡洋艦や仮装砲艦、工作船、敷設艦、嚮導船、病院船といった、艦隊に加わっていた「特設船舶」の艤装、すなわち様々な装備の設置状況を表した図面を集めたものです。なお、仮装巡洋艦とは、民間の商船等を改装して巡洋艦として用いた船のことです。
仮装砲艦は同様に砲艦として用いた船のことです。また、嚮導船とは、大型の軍艦などを水先案内するための船のことです。このように、本来は軍艦ではない船舶が、戦闘用あるいは作業用の装備を施されて、戦争時に臨時に用いられたものを、当時の文書の中では「特設船舶」と呼んでいます。
【資料10】の4~13画像目は、仮装巡洋艦兼工作船「関東丸」の船体を上面から見た図面です。15~29画像目は、船体を側面から見た図面、31~45画像目は、甲板の図面です。なお、この「関東丸」は、日露開戦の頃に座礁していたロシアの汽船が日本軍に鹵獲され、艤装を施されて連合艦隊所属の仮装巡洋艦兼工作船として用いられたものです。64~65画像目は、連繋水雷落下台を装備された「肥後丸」の図面です。連繋水雷とは、文字通り水雷(機雷)をロープで4個ずつ繋ぎ合わせたもので、これを敵の艦船の進路上に投下し、その爆発によって損害を与えるための兵器でした。特に、複数の機雷が連続して接触・爆発することになるので、その破壊力が強まることが期待され、日本海海戦でも当初はこれを用いた作戦が考えられていたものの、天候(電報で「浪高シ」と表現された、波が荒い状況)により実施されなかったと言われます。これらの図面には、この連繋水雷を海中に投下するための装置が船体に取り付けられた状態が描かれています。
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