資料1は、昭和14年(1939年)7月26日にセイヤー米国務次官補より須磨参事官に対して手交された日米通商航海条約廃棄の通告文です。ここに挙げた資料は英語で書かれていますが、その日本語訳は次の通りです。
(日本語訳)
最近数年来、アメリカ政府はアメリカと他国間に締結された有効なる通商航海条約に関し、右の条約の締結された目的をよりよく達成するためにはどのような変更が必要であるかを決定すべく検討を加えつつあった。以上の検討中にアメリカ政府は1911年(明治44年)2月21日ワシントンで調印された日米通商航海条約が新たなる考慮を必要とする条項を含んでいるとの結論に達した。このような新たなる考慮に対し途を開きかつ新たな事態の発生に即応しアメリカの権益を擁護し促進せしめるため、アメリカ政府は該条約第17条の規定に従い、ここに本条約の期限終結を希望する旨通告する。しかし、かかる通告がなされた以上条約および附属議定書とともに本日より6ヶ月以後に満期となるものと期待する。
廃棄の手続きに法的な問題はありませんでしたが、日本側はそのような突然の措置を予想していなかっただけに驚きました。
資料2は、官報に掲載された日米通商航海条約の廃棄に対する告示文です。
資料3と4は、帝国議会の答弁のためにアメリカ局第一課が作成した資料です。例えば、アメリカが日米通商航海条約の廃棄を通告してきた意図は何か、政府は条約廃棄の通告を予期していたのか、日本政府はこの事態に対してどのような措置を講ずるのか、などの議会において想定される質問に対する回答が作成されています。
資料5は、帝国議会における外交に関する質疑応答を記したものです。日米通商航海条約の廃棄をめぐる議会のやり取りがわかります。
資料6と7は、日米通商航海条約廃棄に対する各国の新聞論調をまとめたものです。