アジ歴ニューズレター第35号

2021年8月25日 発行

特集

アジア歴史資料センター開設20周年記念シンポジウムの開催について
 アジア歴史資料センターは2001年(平成13年)11月30日に開設され、お陰様で本年をもちまして20周年を迎えることとなりました。これもひとえに皆様方からのご支援の賜物であり、心よりお礼申し上げます。
 当センターは、20周年記念事業として、本年11月2日(火)午後1時半~(約2時間)、「デジタルアーカイブの進化と歴史教育・歴史研究」(仮)をテーマに、オンライン形式のシンポジウムを開催予定です。
 シンポジウムでは、波多野澄雄・アジア歴史資料センター長(筑波大学名誉教授)による基調発言のほか、海外在住の研究者を含む日本人の有識者をパネリストとしてお招きして、パネル討論を行う予定です。
 このイベントは日本語で行われます(同時通訳はつきません)が、参加無料ですので、インターネット環境と端末があればどなたでも参加可能です。
 今年9月を目途に当センターのホームページ及びツイッターで、シンポジウムの詳細や参加申し込み方法などをお知らせする予定です。まずはご予定いただけますと幸いです。

アジア歴史資料センター

アジ歴データベースのリニューアルについて
 去る4月1日、アジア歴史資料センターは資料検索・閲覧用のデータベースをリニューアルしました。リニューアルにあたり、これまでの機能や表示を見直し、いくつかの改良を施しています。本号ニューズレターでは、今回のリニューアルのポイントをご紹介し、ユーザーの皆様にデータベースをより便利に使っていただきたいと思います。それでは、リニューアルで変更された点について、場面・機能ごとに順番に見ていきましょう。
(1)キーワード検索と検索結果一覧
・今までのデータベースでは、キーワード検索と詳細検索は別のページとして表示しており、検索条件を細かく設定するには、詳細検索画面に行くか、一度キーワード検索をして検索結果画面を表示する必要がありました。今回のリニューアルでは、キーワード検索画面に詳細検索機能を統合し、キーワード検索画面から直接詳細設定をすることが可能になりました。【図1】
【図1】詳細検索条件の設定画面
・検索結果の表示順を改良しました。これまで検索して最初に表示する検索結果の一覧の表示順序については、どのような基準で表示されているか曖昧でした。
 そのため、今回のリニューアルでは、表示順序を明確化するため、レファレンスコード順をデフォルトにしています。なお、表示順序は「作成年月日」や「所蔵館」などでも並び替えができます。【図2】
【図2】レファンレスコード順によるデフォルト表示
・検索結果一覧の表示レイアウトを変更しました。今までのデータベースでは、資料内容を表示する「概要」欄とは別に、横に「作成者」「組織歴」を併記していました。
 アジ歴で公開している資料は、資料名等が長いものが多く、一度に表示する情報を増やすため、今回のリニューアルでは、「作成者」「組織歴」等を「概要」覧の下部に縦に重ねて配列しました。これにより、以前に比べて多くの文字を表示できるようになりました。【図3】
【図3】「作成年月日「作成者」組織歴」の配置
・資料群、簿冊、件名それぞれにアイコンを設定し、検索結果の目録種別をより識別しやすいようにしました。


(2)辞書検索機能
 資料に書かれた文字をそのまま目録化しているアジ歴にとって、スムーズに多くの資料を検索するために欠かせないのが辞書検索機能(同義語、関連語、表記ゆれを同時に検索できる機能)です。辞書検索機能に用いられる辞書データについては、従来のデータベースでは「五十音検索」として一覧表示していました。しかし、この表記では登録されているデータが辞書データであることが伝わりにくかったため、今回のリニューアルでは「辞書検索(カテゴリ)」「辞書検索(五十音)」の2つの入り口を設け、辞書データとして登録されている用語を表示する機能であることを明確化しました。

 「辞書検索(五十音)」では従来どおり五十音順に辞書データを表示しています。「辞書検索(カテゴリ)」では辞書データをいくつかのカテゴリに分類して表示しています。これにより、それぞれのユーザーのニーズに合わせて辞書データを検索することができるようになりました。
 また、表示されるデータ項目として「解説」を追加しました。単に辞書機能を使って検索するだけでなく、それぞれの辞書用語に関する基本情報も提供することが可能になりました。【図4】これまでアジ歴では、同じように解説と辞書データから構成される「地名・人名・出来事事典」を公開してきましたが、同コンテンツに掲載されている内容は、今回のリニューアルに合わせて辞書検索機能に移植されています。
【図4】辞書データの「解説」欄
(3)その他
・目録詳細画面の下部に、論文等への資料の引用例を掲示しました。「引用例をコピーする」ボタンも設けましたので、資料のご利用にあたって、手軽に引用例をお使いいただけるようになりました。【図5】
【図5】目録詳細画面の「引用例」
・レファレンスコードについての解説をキーワード検索画面に追加し、キーワード検索画面にレファレンスコードを打ち込んで検索できることを明示しました。なお、従来の「レファレンスコード検索」の画面からも引き続きレファレンスコードによる検索が可能です。

・アジ歴はスマートデバイスに対応した画面レイアウト表示の適切化を行っており、パソコンだけでなくタブレットやスマートフォンからもデータベースをご利用いただけますが、今回一部の操作性が変更になっています。タブレットやスマートフォンで画像を閲覧する際、これまでは直接PDFをブラウザ内に直接表示していましたが、リニューアル後はPDFを端末にダウンロードする形式へと変更になりました。画像ファイルのリンクをクリックすると画像一括ダウンロード画面に遷移しますので、閲覧したい画像ファイルにチェックが入っていることを確認した上で、ダウンロードして閲覧してください。【図6】
・それ以外の操作性や表示の改善として、JPEG画面の閲覧画面の表示や操作性を改善しました。これにより、ブラウザやデバイスなどのユーザー環境に依存しないで、画像を表示・閲覧することができるようになりました。
【図6】スマートフォンでのPDFダウンロード
 以上、簡単ではありますがリニューアルの要点をご紹介いたしました。データベースの新しい機能をぜひご活用ください。また、アジ歴では今後もさらに使いやすいデータベースを目指して、さらなる改良を検討していきたいと考えています。ご期待ください。

中野 良<アジア歴史資料センター研究員>