軍政とは、軍事司令官が行政・司法・立法の三権の全部あるいはその一部を執行することです。
国内の場合には戒厳令にもとづいてこの状態に移行するものでしたが、国外で軍事的に占領を行った土地では、そのまま軍隊の司令長官が統治を行い、事実上の軍政が実施されていました。 日露戦争期、日本は中国東北地方の20の都市・地域で軍政を布きました。 しかし、戦争の終結にともない、明治39年(1906年)中頃より軍政は次第に解除されて民政へと移行されてゆきます。 明治41年(1907年)1月には、軍政期の末に各軍政署を統括した関東総督府に代わって設置された関東都督府の陸軍部が、軍政当時の関連資料の編纂に取り掛かりました。 こうして大正5年(1916年)初頭に全10巻にわたる『明治三十七、八年戦役満洲軍政史』として作成されたものがここに紹介する資料です。 この資料は、様々な都市や地域ごとの治安や教育、商工業、金融などに関する詳細な調査報告を行うとともに、その地域に特有の諸問題についてもよく触れており、当時の中国東北地方における社会や生活のあり方を知る上でも貴重な資料となっています。 『明治三十七、八年戦役満洲軍政史』はアジア歴史資料センターのデータベースでご覧いただけます。 各巻の内容は次のようになっています。 |
『明治三十七、八年戦役満洲軍政史』 |
表 題 | レファレンスコード | 対 象 地 域 | 画像数 |
明治三十七、八年戦役満洲軍政史・第一巻 | A04017278200 | 全体 | 716 |
明治三十七、八年戦役満洲軍政史・第二巻 上 | A04017278400 | 安東県 | 671 |
明治三十七、八年戦役満洲軍政史・第二巻 下 | A04017278600 | 鳳凰城・大孤山・岫巌 | 398 |
明治三十七、八年戦役満洲軍政史・第三巻 | A04017278800 | 金州・大連・旅順 | 528 |
明治三十七、八年戦役満洲軍政史・第四巻 | A04017279000 | 復州・蓋平・瓦房店 | 536 |
明治三十七、八年戦役満洲軍政史・第五巻 | A04017279200 | 営口 | 447 |
明治三十七、八年戦役満洲軍政史・第六巻 | A04017279400 | 遼陽・海城 | 642 |
明治三十七、八年戦役満洲軍政史・第七巻 | A04017279600 | 奉天 | 291 |
明治三十七、八年戦役満洲軍政史・第八巻 | A04017279800 | 新民府 | 191 |
明治三十七、八年戦役満洲軍政史・第九巻 | A04017280000 | 鉄嶺・法庫門・開原 | 415 |
明治三十七、八年戦役満洲軍政史・第十巻 | A04017280200 | 昌図 | 294 |
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第1巻は総論にあたります。 ここでは、警察業務や衛生、教育、産業等の解説がなされ、軍政の全体像が描き出されています。 |
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第2巻以降では、各都市・地域ごとに警察業務・衛生・教育・産業・商業・金融・運輸等の項目が設けられ、それぞれの地域の特有の問題とあわせて、極めて詳細な記述がなされています。 |
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