朝鮮

京城

中央の警察機構であり、高等警察課、警務課、保安課、衛生課からなった。朝鮮の警察行政については、当初は憲兵警察制度が敷かれた。中央機構である警務総監部では警務総長が憲兵隊司令官を兼任し、地方では各道の警察部長が憲兵隊長を兼ね、警務総長は陸軍将官、警察部長は陸軍左官が担った。朝鮮の憲兵隊は日本内地の制度と異なり、軍事警察業務については陸軍大臣の指揮を受け、普通警察業務については朝鮮総督の指揮を受けた。また警察業務以外に犯罪即決、民事訴訟調停などの司法機能も備えた。1912年3月の官制改正で、それまで内務部地方局衛生課が担っていた衛生業務と、度支部司税局関税課で扱っていた検疫業務と密漁取締が移管され、これによって獣疫、港務が業務に加えられた。1915年の改正で、警務課警務係に警備業務と民籍業務がまとめられ、保安課行政警察係に建築取締と消防業務が組み入れられた。憲兵警察制度は1919年3月の独立運動を経て見直しが行われ、1919年8月に警務総監部は廃止、普通警察制度となって本府に警務局が置かれた。

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｢朝鮮総督府警務総監部事務分掌規程｣朝鮮総督府訓令第4号、1910年10月1日(『官報』第8192号、1910年10月10日)｢朝鮮総督府警察官署官制中左ノ通改正ス｣勅令第28号、1912年4月1日（『官報』第8629号、1912年3月28日）｢朝鮮総督府警務総監部事務分掌規程中左ノ通改正ス｣朝鮮総督府訓令第18号、1912年4月1日(『官報』第8644号、1912年4月16日)｢朝鮮総督府警務総監部事務分掌規程中左ノ通改正ス｣朝鮮総督府訓令第25号、1915年4月19日(『官報(日刊)』第815号、1915年4月23日)松田利彦『日本の朝鮮植民地支配と警察―1905～1945年』（校倉書房、2009年）河かおる｢民族運動と『治安』対策｣(『東洋文化研究』第5号、2003年3月、学習院大学東洋文化研究所)