日米交渉 資料解説
昭和16年(1941年)11月27日
野村・来栖両大使、ハル米国務長官と会談、ハルは「乙案」を拒否し所謂「ハル・ノート」を手交


「ハル・ノート」(1ページ)
(外務省外交史料館提供)
 昭和16年(1941年)11月27日(木)6:45から8:45にかけて(米時間 26日 16:45から18:45にかけて)、野村吉三郎駐アメリカ大使と来栖三郎特命全権大使は、ハル米国務長官と会談します。ここでハルは「乙案」の拒否を示す「ハル・ノート」を提示しました。これによって、「乙案」を最終案とする第7回御前会議以来の日本の交渉は破綻したことになります。
資料1:B02030723300 1 昭和16年11月26日から昭和16年11月27日(6画像〜9画像右)
「昭和16年11月26日野村大使発東郷外務大臣宛公電第一一八九号(極秘、館長符号)」
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資料2:B02030739100 13 外交資料 日米交渉記録ノ部 日米交渉資料(五) 東條内閣時代(下)(15画像)
「六八、昭和十六年十一月二十七日野村大使発東郷大臣宛電報一一九〇号(交渉打切ノ場合ニ関スル件)」(この公電は、オリジナルが現存していないため、カラー画像は撮影しておりません)
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     B02030747200 外交資料 日米交渉記録ノ部5 東條内閣時代(下) 2(28画像〜30画像)
「昭和十六年十一月二十七日野村大使発東郷大臣宛電報第一一九〇号」(本資料は、上記の資料を作成する際に使用した原稿であると考えられます)
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資料3:B02030723300 1 昭和16年11月26日から昭和16年11月27日(20画像〜25画像)
「昭和16年11月27日野村大使発東郷外務大臣宛公電第一一九一号(極秘、館長符号)」
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資料4:B02030723400 2 昭和16年11月27日から昭和16年11月28日(1画像〜3画像)
「昭和16年11月27日野村大使発東郷外務大臣宛公電第一一九二号(極秘、館長符号)」
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資料5:B02030723400 2 昭和16年11月27日から昭和16年11月28日(4画像〜8画像)
「昭和16年11月27日野村大使発東郷外務大臣宛公電第一一九三号(極秘、館長符号)」
「昭和16年11月27日野村大使発東郷外務大臣宛公電第一一九四号(極秘、館長符号)」
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 昭和16年(1941年)11月27日、ハル米国務長官と野村駐アメリカ大使・来栖特命大使との会談において、ハル長官は11月20日に提出された日本側最終案(乙案)を拒否し、いわゆる「ハル・ノート」を野村大使・来栖大使に手交しました。
 資料1(一一八九号)は、この会談の概要を報告した11月26日(米時間)野村大使発東郷外務大臣宛電報です。
 資料2(一一九〇号)は、野村大使が会談打ち切りの場合の措置について、本国へ意見を具申した電報です。この資料は、電報の原文を綴り込んだ簿冊には存在せず、後年(昭和21年(1946年)2月末)編纂された「日米交渉資料」に入っています。
 資料3(一一九一号)は、会談内容の詳細を伝えた電報で、「ハル・ノート」の各項目に関する、野村・来栖両大使とハル長官との応答が報告されています。
 資料4(一一九二号)は、27日(米時間)に送られた資料3の別電で、「ハル・ノート」と同時に手交された、11月26日(米時間)付け「オーラル・ステートメント」(英語原文)を電送したものです。
 資料5(一一九三号・一一九四号)は、27日(米時間)に送られた野村大使発東郷外務大臣宛の電報で、「ハル・ノート」(英語原文)を電送したものです(2画像目以降)。「ハル・ノート」の前段には“Strictly Confidential, tentative and without commitment(厳秘、一時的にして拘束力なし)”と記述されています。
 また、資料1によると、11月27日にハル長官が手交した2つの提案の概要は、以下の通りです。

所謂四原則の承認を求めたるもの
(一)日米英「ソ」蘭支泰国間ノ相互不可侵条約締結
(二)日米英蘭支泰国間ノ仏印不可侵並仏印ニ於ケル経済上ノ均等待遇ニ対スル協定取扱
(三)支那及全仏印ヨリノ日本軍の全面撤兵
(四)日米両国ニ於テ支那ニ於ケル蒋政権以外ノ政権ヲ支持セサル確約
(五)支那ニ於ケル治外法権及租界ノ撤廃
(六)最恵国待遇ヲ基礎トスル日米間互恵通商条約締結
(七)日米相互凍結令解除
(八)円「ドル」為替安定
(九)日米両国カ第三国トノ間ニ締結セル如何ナル協定モ本件協定及太平洋平和維持ノ目的ニ反スルモノト解セラレサルヘキモノヲ約ス(三国協定骨抜キ案)

 この提案の中で触れられている「四原則」とは、いわゆる「ハル四原則」のことで、以下の4項目を指します。
1. 一切ノ国家ノ領土保全及主権ノ不可侵原則
2. 他ノ諸国ノ国内問題ニ対スル不関与の原則
3. 通商上ノ機会及待遇ノ平等ヲ含ム平等原則
4. 紛争ノ防止及平和的解決並ニ平和的方法及手続ニ依ル国際情勢改善ノ為メ国際協力及国際調停尊拠ノ原則
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