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解説 | 日清戦争下の1895(明治28)年1月に帝都東京の防衛を目的として設置された陸軍の組織。長である東京防禦総督には陸軍大将もしくは中将が任じられ、天皇に直隷した。軍政や人事に関しては陸軍大臣の、防禦計画に関しては参謀總長の区処を受けた。東京防禦総督部には參謀長と参謀、副官が置かれた。総督は東京衛戍司令官として在京師団長への命令権を有するとともに、東京防禦総督部条例と同日に裁可された防務条例により、東京防禦の計画指揮に関して、要塞司令官、師団長もしくは野戦隊指揮官、横須賀鎮守府司令長官を統轄すると規定された。これにより東京防禦総督部は、帝都防衛のために師団や要塞、鎮守府等の陸海軍各組織を統轄する常設の上級司令部として機能することが企図された。1896年5月の師団司令部条例改正では、近衛師団と第1師団の管内への出兵にあたっては東京防禦総督への報告が義務づけられ、東京における軍紀風紀についても東京防禦総督が統監すると規定された。日清戦争下における帝都防衛を想定して創設された組織であったが、実際に東京防禦総督部が参謀本部内に設置されたのは講和後の1896年5月であった。また当初は海軍の組織である横須賀鎮守府司令長官への指揮権が規定されていたが、陸軍の指揮下に入ることに対する海軍の反発に起因して、同規定の解釈をめぐる紛議が生じたため、1901年1月の防務条例改正で横須賀鎮守府司令長官への指揮権規定が削除された。これらの経緯により、常設の上級司令部としての存在意義を失った防禦総督部は同年4月に廃止され、東京衛戍司令官は第1師団長の兼務となった。 |
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上位の階層 | 陸軍(明治・大正期) > 帝都防衛組織 > 東京防禦総督部 |
レファレンス コード |
「御署名原本・明治二十八年・勅令第九号・東京防禦総督部条例」Ref:A03020195800、「御署名原本・明治二十八年・勅令第八号・防務条例」Ref:A03020195700、「御署名原本・明治二十八年・勅令第百三十八号・衛戍条例改正」Ref:A03020208700、「御署名原本・明治二十九年・勅令第二百五号・師団司令部条例改正近衛師団司令部条例及屯田兵司令部条例廃止」Ref:A03020244500、「御署名原本・明治三十四年・勅令第一号・防務条例改正」Ref:A03020490400)、「防務条例ヲ改正ス」Ref:A15113380700、「御署名原本・明治三十四年・勅令第三十号・東京防禦総督部条例廃止」Ref:A03020493300、「御署名原本・明治三十四年・勅令第三十一号・衛戍条例中改正削除」Ref:A03020493400。 |