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地域 | 日本 |
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都市名 | 東京 |
解説 | 大日本帝国憲法下の内閣総理大臣は、憲法で定められたものではなく、「内閣官制」(明治22年12月発布)という勅令で定められた官職である。内閣官制においては、内閣総理大臣は内閣を構成する各国務大臣の首班と定められている。しかし、大日本帝国憲法は、第55条第1項で「国務各大臣は天皇を補弼しその責に任す」と、また、第4条で「天皇は国の元首にして統治権を総攬」する旨規定していることから、内閣総理大臣は、統治権の総攬者として立法、司法、行政権を一手に引き受ける天皇が任命する国務大臣の1人として他の国務大臣と同等に位置づけられていた。内閣官制で、内閣総理大臣は行政各部の処分・命令を中止させることができる旨定められていたが、この処分・命令について「勅裁を待つ」と内閣官制に規定されていることから、最終的な判断権限は天皇にあった。従って、戦前の内閣総理大臣の権限は他の国務大臣に比べて強くはなかった。このことから、戦前においては、閣内不一致を原因とする内閣の交替が頻繁に起こった。さらに、1936年(昭和11年)5月の陸軍省官制及び海軍省官制により、陸軍大臣、海軍大臣は現役の大中将が充てられることが規定されることになった。これによって、陸軍、海軍は、支持しない内閣からそれぞれ陸軍大臣、海軍大臣を辞任させ、後任補充を拒否することによって、軍の意向を内閣に押しつけることができ、戦前においては、国政に軍の意向が反映されやすくなった。 |
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参考資料 | A03020029600(大日本帝国憲法)A03020046900(内閣官制)A03022024500(陸軍省官制)A03022024600(海軍省官制)毛利透、小泉良幸、淺野博宣、松本哲治『Legal Quest 憲法Ⅰ』(有斐閣、2011年3月)46ページ憲法政治学研究会編『日本国憲法講義』(誠文堂、2009年9月)285~286ページ大隅義和編、大江正昭編『憲法学へのいざない』(青林書院、2015年4月)10ページ |