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地域 | 日本 |
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都市名 | 東京 |
解説 | 専売事業とは、国家が財政収入を増加させるために特定物資の生産・流通・販売などを法的に独占する事業のことであり、日露戦争の戦費を補充する目的で、明治37(1904)年3月、の煙草専売法が公布されて以来、その品目を塩、樟脳、アルコールへと広げていった。日中戦争が始まってからは、一般会計歳入だけではなく、臨時軍事費の財源充当のために3回にわたり、およそ70%に及ぶ値上げを敢行した。また、専売事業は財政収入の補充という本来の役割のほかに軍需生産の増強にも貢献した。1937(昭和12)年からは、液体燃料自給策の目的から、アルコール専売制度が開始され、企画院を中心として協議がなされた結果、大蔵省専売局の所管事項となった。このアルコール専売実施によって、1937(昭和12)年に機構改正がなされ、販売部販売課に新たにアルコールの販売、輸出入、収納及び運動に関する業務が加わり、収納部には企画課が新設されて、アルコールの製造計画、製造原料の購買、製造原料生産者の組織する団体についての事務や生産費の調査等を管掌した。また、収納部技術課が第一技術課、第二技術課に分れて拡充され、第二技術課は専らアルコール製造に関する業務を管掌した。アルコール専売は、1942(昭和17)年4月、商工省へ移管されるに伴い酒精部を廃止し、翌昭和18年度からは軍需省へと移管された。また軍需生産の拡大につれて軍需資材の輸入が急増すると、欧米向けの輸出品である樟脳関連産業製品は輸出振興策上重要なものとなり、専売局は昭和12年度から増産対策を講じ、昭和13(1938)年4月からは、販売部販売課と収納部収納課に樟脳および樟脳油の販売、生産、賠償・補償に関する事務が加わった。昭和16(1941)年12月、太平洋戦争の開戦により、樟脳の欧米向け輸出は杜絶したため、在庫過剰となり、以後、樟脳はセルロイド、フィルム、航空機用塗料等の軍需用品の原料として軍需生産の増強に貢献するため、昭和19(1944)年3月「専売局ニ於テハ当分ノ間専売品以外ノ軍需品其ノ他ノ物品ノ製造ヲ為スコトヲ得」という勅令(昭和19年勅令第199号)の公布により、財政収入調達機関から軍需品製造工場へとその性格を変えていった。 |
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参考資料 | 専売事業(執筆者 金子勝)『国史大辞典8 』、483-484頁。大蔵省百年史編集室編『大蔵省百年史』下巻、1969年、164-167頁。 |